NikonのレンズでAFが効かない時

先日、とうとうNikonもフルサイズミラーレスに参入という報道がありました。デジタル一眼レフが完全になくなるとは思いませんが、相対的な地位の低下は避けられないのでしょう。そんなデジタル一眼レフに絡むお話として、中古レンズをヤフオクで売却したところ、AF(オートフォーカス)が動作しないというクレームを受けたことがありました。その経緯をFマウントの歴史を軽く振り返りつつご説明していきます。

Nikon 一眼レフカメラのAFの仕組み

まずNikonの一眼レフカメラの概要をお話します。デジタル一眼レフカメラ、ご存じの方はご存じだと思いますが、コンパクトデジタルカメラ、ミラーレス一眼、一眼レフカメラと並んだ中で、たいていの場合、一番大きいのは一眼レフです。

デジタル一眼レフカメラ

このデジタル一眼レフカメラ、レンズが取り外せるようになっていて、使用シーン、目的に応じて最適なレンズを付け替えられるようになっています。

デジイチ中身

NikonFマウントのお話

Nikonの一眼レフカメラはFマウントという規格を採用しています。マウントというのはカメラのボディとレンズの後端を接合させる仕組みのことです。

Fマウントが始めて採用されたのは Nikon Fというフィルム一眼レフカメラで、これは1959年の発売でした。この記事を書いている2018年から数えると半世紀以上も前ですね。これだけ長く一つのマウントが採用されていることは珍しく、このためFマウントには「永遠の」とか「不変の」といった枕詞がついて語られることがあります。Fマウントは半世紀以上前のフィルムカメラにも採用されていますし、最新のデジタル一眼レフカメラにも採用されています。ボディとレンズの接合部の規格が同じなので、半世紀以上前のオールドレンズを最新のデジタルカメラに装着することも可能です。

すべての機能が使えるわけではない

オールドレンズを最新のボディに装着することは可能です。ただし、最新のカメラの機能がすべて使えるわけではありません。例えば、最新のカメラならオートフォーカス機能や露出調整機能(被写体の明るさに応じて、、明るすぎない、暗すぎない写真にならないように、カメラが最適なシャッタースピードやレンズの開く具合を調整してくれる機能です)を備えているものがほとんどですが、半世紀前のレンズはこれらの機能が登場する前の製品ですので、当然ながらこういった機能には対応できません。

オートフォーカスが働かないことがある

デジタルカメラでは、シャッターボタンを半押しするとピントが合うようになっています。AF(オートフォーカス)という機能ですが、オールドレンズではこの機能が働かないことがあります。

AFの仕組みは、ざっくり説明すると次のとおりです。

  1. レンズを通してボディの中に光が入ってくる。
  2. ボディに内蔵されている、ピントのズレ具合を測定する部品に光があたる
  3. ピントのズレが測定される
  4. 測定結果に応じてボディがピントのズレを修正するために
    「これぐらい修正しなさい」という指示をレンズに伝える
  5. レンズが動く

という仕組みです。

具体的には上の写真の赤丸部分です。この部分で、レンズはボディに内蔵されたモーターの動力を受け取ってピントを操作します。AFが動作しない問題で重要なのが4番です。カメラボディがピントのズレを検出してレンズにそれを伝えようとしても、それがうまくいかないことがあります。この現象には3つの原因が考えられます。

  1. 本当に古いレンズの場合。電気接点がないため、ボディからの指示をレンズが受け取れない
  2. 少し古いレンズの場合。指示は受け取れているけれど、実際に動かすためのモーターがない
  3. レンズが壊れている

今のようなオートフォーカスの仕組みが登場する前、マニュアルフォーカスの時代には、ピント合わせはすべて手動でしていました。レンズの先端近くがピント調整用のリングになっていて、ファインダーを覗きながらピント合わせを行っていたのです。こういったレンズの場合、元々オートフォーカスとは無縁のレンズであるわけですから、オートフォーカスが作動するはずがありません。1番のレンズの場合、AFが作動しないのは当然です。

問題は2番目、レンズはオートフォーカスの機能を備えているのに動かないというケースです。わたしがクレームを受けたのはこのパターンでした。

キーワードはAFモーター

Nikonはフィルムカメラ時代、ピントのズレを修正するためのAFモーターをボディに内蔵していました。ピントのズレを検出する機構もボディの中にありましたし、その測定結果に基づいてレンズのピント調整をするためのモーターもボディに入っていたわけですね。

しかし、デジタル一眼レフ時代になって、Nikonは方針を転換します。レンズの中にAF駆動用のモーターを内蔵させるようにしたのです。一般的な使い方をする人にとっては、これはそれほど大きな問題ではありません。新しくデジタル一眼レフのボディを買う人は、多くの場合、同じく新しいレンズを買いますから、新しいボディと新しいレンズなので問題は起こらないのです。しかし、ボディは新しいものを買ったけれど、レンズは中古の安いものを買おうと思った人には問題が発生する可能性がありました。ややこしいお話なので、簡単な表にまとめてみます。

古いカメラボディ(AFモーター搭載)新しいカメラボディ(AFモーター非搭載)
AF対応の古いレンズ(AFモーター非搭載)○:AF駆動OK×:AF動作せず
新しいレンズ(AFモーター搭載)○:AF駆動OK○:AF駆動OK

要するに、ボディかレンズ、どちらかにAFモーターが備わっていればAFが動作するということですね。この点はNikonのサポートページにも記載があります。エントリークラス(普及価格帯)のデジタル一眼レフカメラボディにはAFモーターが内蔵されていないことが多いと分かります。こうしたカメラボディを使っている人は、型番に「AF-S」かあるいは「AF-I」と書いてある、AFモーターを内蔵しているレンズを買う必要があるということですね。

Nikon以外のレンズメーカー(サードパーティ)製のレンズの場合も、型番でAFモーター搭載/非搭載を見分けられることがあります。SIGMAの場合は型番に「HSM」の文字があればAFモーター内蔵です。D3000番代やD5000番代でもAFが作動します。

TAMRONの場合、「NII」やそれよりも新しいものだと「USD」という文言が型番に含まれていればAFモーター内蔵と判断できます。ただ、丸暗記するのは難しいですよね。もし、中古品店などでAFモーター内蔵がどうか、迷ったとしましたら、マウント部を見てみましょう。

AF対応のレンズで、AFカップリング(ボディ内蔵のモーターの動力をレンズに伝えるための切り欠き。3つ上の写真を参照)がないレンズは、レンズの中にAFモーターが備わっていると判断できます。いちいち知識を丸暗記するのは大変ですが、実物を見た時に判断できるポイントを覚えておけば簡単に判断できると思います。

古いレンズで遊ぶ人は知っているけれど

エントリーモデルの一眼レフボディとフィルムカメラ時代のレンズの組み合わせではAFが作動しない。こうしたことは新しいボディと古いレンズの組み合わせで遊ぶことが多い人にはよく知られています。ついつい、わたしも取引相手が知っているものだと思って(というか、知らない可能性があるなどということは考えもせず)取り引きを進行させてしまい、クレームを受けることになってしまいました。相手方には先ほど上げましたNikonのサポートページを見てもらってトラブルは収束しました。

似たような案件を多く経験している中古販売店では、客が購入する前にAFが作動しない組み合わせでないかどうかを確認するなどの対応を取ってくれるのかもしれませんが、残念なことにわたしはそこまで気が回りませんでした。このあたりも個人間取り引きのリスクということができるかもしれません。

まとめ

Nikonの最新のデジタル一眼レフカメラでも、昔のレンズを使うことはできます。ただし、オートフォーカスが使えなかったり、露出の自動調節ができなかったりで、そのあたりをすべてマニュアルで操作しなければならないことがあります。昔のレンズであれば明るい単焦点レンズなどが格安で手に入ることもありますから、昔のレンズも最新のボディに装着できるというのはNikonボディの大きなメリットです。ただし、使える機能、使えない機能があることを念頭に置いて、賢く中古レンズを利用していただければと思います。

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